これまで日本ではほとんど栽培されることのなかった「ちこり」。
ある初夏、中津川でちこりを作ろうという取り組みが始まりました。
試験農場を借り、種を一つ一つ畝(うね)に蒔いていきます。
芽が出ないのは当たり前、たまに芽を出す種があってもすぐに枯れてしまう、雨で流されたり腐ってしまったり…。
ちこりの栽培は苦労の連続でした。
それでも秋にはいくつかの畑でちこりの大きな葉を見ることができました。
葉の下には立派な根も張っています。
これまでの苦労が報われた瞬間でした。
しかしこの根…その形から私達は芋と呼んでいますがこれらはちこり収穫後、有効活用されることなくほとんどが捨てられてしまいます。
そこで私たちが試みたのがチコリ芋を用いての焼酎造りです。
鹿児島の焼酎蔵に試作をお願いして数週間…吉報が届きました。
「ちこりで焼酎ができましたよ!」
そして本格的なちこり焼酎造りが始まりました。
現蔵長の豊岡は鹿児島まで修行に赴き、焼酎専用の蔵を建て、製造免許の取得に奔走。
すべての準備に丸2年もの歳月を費やしました。
いや、野菜の生産者が焼酎を作るというのだから2年でよくここまでできた、というべきかもしれません。
私たちはただ焼酎を作るのではありません。
日本の畑を耕やし、食料自給率向上を目指す。
焼酎を創りながら日本の農業を元気にすることが私たちに課せられた役割と考えています。